2015年ごろ、職場近くにポルトガル料理店がオープンし(既につぶれてしまいましたが)、同僚とランチに行くことになりました。
料理の内容は覚えていないのですが、お会計の際に「オープン記念のプレゼントです」と小袋を渡されました。何かと思い開けてみると、この鶏が入っていました。
「おおっ!めっちゃかわいいやんけ🎵」
同僚は、こんなもんもらってもなあ、という感じでしたが、私はこういう類いの、あまり実用性のない頂きモノにときめくので、思いのほか嬉しかったことを覚えています。(大きく写っていますが3cmほどです)
喜んで、また別の日に行ってみると、今度はピンバッジを頂きました。またこの鶏のモチーフです。
私のこれまでの人生で、ポルトガルという国とあまり接点がなかったため、この鶏がどういうものであるのか知りませんでした。
もしかすると、奈良公園の鹿のような感じで、ポルトガルの観光地のお土産物屋のレジ前のカゴなどに、山積みにされて売られているようなものかもしれないのですが、色もキレイでとにかく可愛かったので、大事に飾っています。
とは言いつつも、これが何なのか、やはり気になるので少し調べてみました。
この鶏は「ガロ・デ・バルセロス(通称ガロ)」。ポルトガルでは、シンボル的存在の鳥だそうです。
もともとはポルトガル北部の小さな町、バルセロスの物語に由来するもので、現在では、ポルトガルにおける真実、正義、強さの象徴とされているそうです。
さて、そのガロの物語の内容ですが、聖地巡礼中に、冤罪によって有罪判決を受けた外国人青年の物語です。
では以下に、かい摘んで紹介します。
ある日、まちの富豪の家から銀食器が一式盗まれるという事件が起きました。これが大騒ぎとなり、まちの人々の間には、不安や疑いが広がり始めました。
でも、自分たちの中に盗人がいるとは信じたくなかった人々は、たまたま街の宿に泊まっていた青年を犯人だと決めつけてしまいました。青年は自身の無実を訴え続けましたが、とうとう牢屋に入れられ、死刑の判決を受けてしまいます。
まちの人々はひと安心し、青年の処刑の準備が着々と進められていきました。しかしながら、牢屋に入れられた青年は、裁判官に無実の証明をしたいと、繰り返し懇願しました。あまりにしつこいので、仕方なく裁判官もこれを聞き入れました。その時青年には、無罪を証明できるものは何もなかったのですが、もうどうしようもなく、天に運を任せて叫びました。
「私が無実だということは、そこに置いてある丸焼きの鶏が鳴くことによって、証明されます!」
ばかげたことを言うやつだと、裁判官は彼の話を無視し、再度牢屋に入れるよう命じました。そして、まさに処刑が行われようとしたとき、なんとその鶏の丸焼きは立ち上がり、大きな声で鳴いたのです。
これにより、青年の無実がまちの人々にも証明され、裁判官も自らが犯しかけた過ちを悔い、すぐさま処刑を阻止しました。そして青年は釈放され、無事に巡礼の旅を続けることができました。それ以来、ガロは真実、正義、強さ、希望の象徴となったそうです。
そして、今ではポルトガルの多くの家庭においてガロが飾られてあり、ガロをお守りとすることで、繁栄がもたらされたり、災厄を遠ざけると信じられているそうです。
このように背景を知ると、ちょっと見方も変わり、不思議ですがより愛着が湧いてくるもんですよね。色んな色のガロがあり、私の置物のガロは黄色です。でも丸焦げの鳥であれば、本来はピンバッジの方の色が正しいんでしょうね。
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